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 猛毒は言うほど毒じゃない。

更に質問がきたので、徹底的に答えます。

前回で、「トリハロメタン」「トリクロロメタン(クロロホルム)」と、有害物質・・・とされているものを検証してみましたが、毒性そのものから見ると、水を浄化するために消毒に使用される次亜塩素酸Naやオゾンのほうが、呼吸などで吸収される量も多く、毒性もかなりものです。この2つは致死量から催奇性まで細かく調査されています。ただ、毒性があるから使わないというのは現状では出来ません。ある意味間違った選択であっても使わざるを得ないのです。理由は、不特定多数の人間より持ち寄られた細菌を殺菌・滅菌しなければいけないからです。現在のところ、次亜塩素酸Naやオゾンを上回る効率の良い消毒方法が存在しないのです。

さて、トリクロロメタンとはどんな物質でしょうか? 実は非常に単純な構造をしています。炭素原子を核にして3つの塩素原子と水素原子1つで構成されている、丁度サイコロの「5」の目の配列になっているものです。

ここで多少でも化学的知識のあるひとなら「2つの塩素+水素2つ(ジクロロメタン)」や、「1つの塩素+水素3つ(モノクロロメタン)」も大量に発生するのでは?と思うでしょう。でも実際には殆ど生成されません。トリクロロメタン以外の物質は、触媒や高エネルギーが付与される直接的な化学変化しか行なわない(つまり、化合するためのエネルギーが足りない)からです。それに反してトリクロロメタンは水を媒体として「加水分解」という効率のいい方法をとっているからなのです。これで、トリクロロメタンの発生するアルゴリズムが成り立ちます(でも、あくまで微量のレベルなのですが・・・)。

また、前章であげた「ホスゲン(塩化カルボニル)」は確かに毒性はかなり強く、トリクロロメタン<塩素<ホスゲン と言った具合な感じなのですが、そもそも原料になるトリクロロメタンの被曝量がほんの僅かなので、ホスゲンそのものの発生率も限りなく少なく、ホスゲン自体が人体で加水分解されてしまうので、被曝量はほぼ0に近いと言ってよいでしょう。

でも、よく考えてみると湯にはもっと毒性・発ガン性が強いと言われる物質がいくつもあります。例えば、あの悪名高い「ダイオキシン」。ラットでの致死量実験ではとんでもない猛毒として公表されています・・・が人間に対してはどうでしょう?実は、体重(質量)あたりの毒性が約1000倍も違うのです。ダイオキシンで人間を殺せるか、というと・・・ラットの1000倍以上の濃度が必要なわけです。500gのラットの致死量を、体重60kgの人間に60÷0.5=120倍と単純に計算できますが、前述のとおり1000倍以上の耐毒性のある人間には120×1,000=120,000倍!!も摂取させなければいけません。余程上手な手段を使わないと、そんな大量の毒物を与えることは不可能でしょう。

また、更に「燃焼させることによって必ず発生する、毒性・発ガン性物質」に、「ベンツピレン」という物質がありますが、トリクロロメタンの比でない位の猛毒だと思ってください。薪にせよガスにせよ、燃やせば発生してしまう物質。しかし、これが浴場施設で問題視されたことはあるでしょうか?かえって「焼き魚のコゲを食べると(ベンツピレンの影響で)ガンになる」が有名になってしまっています。もちろん、喫煙してる方はダイレクトにしかも効率よく大量に吸収している訳ですから、もうそれ以上の説明は不要ですよね。みなさん、毒性・発ガン性物質にいつも触れているといっても大げさではないでしょう。

その他、CD/DVD、また食器などにも使われている「ポリカーボネイト」からは「ビスフェノールA」、カップ麺の容器などの発砲スチロールからは「スチレン」、塩化ビニールみたいな赤ん坊〜子供のおもちゃからは「フタル酸」、古い水道管からの「鉛」といった有害物質が容赦なく滲出してきて、人間の口に入る機会がいつでも待ち構えています。

経口して簡単に人間に取り入れられてしまう毒物(ホルモン撹乱物質にも指定されています)と、黒湯の中に入っている極めて少量のトリクロロメタン、あなたはどっちが安全だと思いますか?

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