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 5.東京の温泉に誤解あり

俗称がまぎらわしいことが問題です。

★「温泉」と「鉱泉」

よ〜く、温泉リストを見てるときっと気づくとおもいます、「温泉」と「鉱泉」。なんとなく、文字の意味合いも、それこそ音も似ていたりします。そのせいで、少々分類に面倒なことになっているのです。

まず、温泉とは(1)地下水が25℃以上の水温である(2)地下水に温泉成分が一定量以上含有している、のいずれかが合致しているものです。

実は、この温泉の定義は昭和23年に作られた温泉法により設定されたものです。ところが、それ以前にも、温泉とはなんぞや?というのが設定されていました。

この温泉法が出来上がる以前の分類が、「鉱泉」なのです。

では、鉱泉とはどのような地下水を示すのでしょうか。答えは、ワリとカンタンで温泉法で定めたものから成分を少し除いたもの(ガス・揮発性物質)が「鉱泉」になります。更に、鉱泉の中でも低温の物は「冷水泉」と呼び、高温のものを「温泉」と区分されています。

現行の温泉法では「冷鉱泉」「低温泉」「中温泉」「高温泉」と区分されていますが、鉱泉の場合の区分とはそこまで差がありません。ところが、ここでまぎらわしいのが、低温の場合が「冷鉱泉」とされていることなのです。このせいで、鉱泉=温泉の冷たいもの、と認識されているのですが、元々は温泉は「鉱泉のうちの分類の一部」でしかなかったのです。

★泉質

しばしば、温泉に入ると「どんな効能があるのだろう?」と考えます。その時に大切なものが温泉の性質、すなわち「泉質」です。

要は、このお湯には何がどの位溶けていて、どんな性質なんだろう?ということを言いたいためにある言葉だと思っていて下さい。ところで、これにはいくつかの表記方法があります。

<例1> ナトリウム炭酸水素塩泉
<例2> 重曹泉
<例3> 弱アルカリ低張性泉

なんか、いろんな表現がありますが、実はこれは1つの温泉について泉質を答えたものです。はっきりいってわずらわしいのですが、まぁ理解さえすればどういうことか判るのでまぁいいと思います。但し、<例3>のような場合だと、湯の中に何が入っているのか判らないのはやや難点のような気がします。

さて、<例1>と<例2>は、新表記と旧表記の違いなので、実質同じものです。それこそ、重曹=炭酸水素ナトリウムなので、成分そのものは同じことになります。違うとすれば、重曹は水に溶けると遊離してしまうので、「重曹が主成分として含まれている」というよりは、「重曹起因の遊離物質が溶解している」としたほうがより正確なので、現行では<例1>が主流となっています。

なお、さななねっとでは煩雑な表現を避けるために、左側の陽イオン物質が単原子である場合には「ナトリウム=Na」のように元素記号表記にしています。また、「ナトリウム炭酸水素塩冷鉱泉」とするのが正しいのですが、「冷鉱泉」であることは、成分を表記する上では必要ではないと考えますので(どのみち、東京では冷鉱泉のほうが普通なので)、例外を除いて省略しています。

ちょっと判りづらくなってしまいましたが、泉質を表記するにはいくつも方法があるということです。

★ラジウム(ラヂウム・ラジューム)泉

度々、温泉の宣伝や看板を見ていると「ラジウム泉(鉱泉)」と書いてあります。まず、このラジウムとは、キュリー夫人によって発見されたことで有名な、放射性の元素です。このラジウムにより生じる放射能を微量に被曝することで、健康増進につなげようというのが、ラジウム泉の一般的な使用法です。もっとも、放射能は多量に被曝したら健康上に大きな悪影響を及ぼしますが、普通は温泉程度の微量の放射能であれば、呼吸することによって肺から速やかに体外に排出されるので、なんら心配はありません。

ところが、東京近辺のラジウム泉と称するものは、放射性という訳ではありません。

では、このラジウム泉とは何者か?と言うと、単純に「色が薄めの黒湯」のことになります。薄めっていうと、丁度濃いビール色という所でしょうか。黒湯の色の黒い理由とかは前の章で言ったので省略しますけど、別に放射性物質が含まれているから温泉、という訳ではありません。なぜ、こんな紛らわしい名前になったのかと言うと、昔の温泉の成分表(それこそ東京オリンピック前?)には「ラジウムヘマナチオン」という項目があったから・・・と、どうでもいい理由ですね。

実は、ラジウムや、ラジウムが崩壊して出来るラドンなどは、ほとんどの自然の物質に含まれているので、項目の値は0にはならないと考えてもいいのですが、あくまでもほ〜〜んの微量なので、発生する放射線が健康に影響するってことはまず考えられないので、「ラジウム泉」となっているのは、表現としては間違いで、あくまで「あだ名」みたいなものだと思っていて下さい。

★温泉法上の温泉

実は、「泉質のない」温泉というものも存在します。そのうちの1つが「単純泉」と呼ばれるものです。単純泉とは、湧出時の水温が25℃以上の温泉である際に、特に規定量以上の成分が含まれていない場合の名称です。ただ不思議なことに、単なる地下水なのに何故か「効能」が存在することになっているというのが、何とも奇怪です。さて、もう1つが、「さななねっと」ではあえて泉質のように扱っている場合の、「療養泉として認められない場合の温泉の性質」です。療養泉として認められるには、「水1リットル中にガス性を除く1000mgの成分が溶けている」という条件が必要ですが、実はそんなに多くはありません。

ただ、低温泉(25℃〜37℃)であれば成分がなくても効能があるとされるのに、もっと成分の含まれている冷鉱泉(25℃未満)だと効能を表記できないのは、何となく釈然としないような気がするのは私達だけでしょうか? ということで、「さななねっと」では、成分そのものを重視して療養泉ではなくても「Na-炭酸水素塩泉」のように表記しています。もっとも、メタ珪酸の項だけで温泉となる場合はちょっと難しい範囲なのですが・・・そのあたりは、温泉であることに意義があるということで「含メタ珪酸塩泉」としています。

こういう分類って、やっぱりお役所的だよねぇ〜(^^;;;

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