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 単なる「黒湯」がどうして温泉銭湯リストに入っているか?

「1つの成分」で「温泉法上の温泉」であるかどうかで微妙に変わってしまうだけ…だけど。

東京の黒湯の、色を呈する理由の殆どが「フミン酸」です。

では、フミン酸とは何か?を以前に「植物が朽ちていく間に様々な要因によって発生した「最終物質」と説明しました。もちろん有機物タップリ、100%植物由来です。しかしこのフミン酸、これは特定な物質を示すわけではなく「直鎖炭化水素と多環芳香族化合物の分子量数千から1万程度の難分解性高分子化合物」とまぁ、植物由来の炭水化物のカタマリを総じて言います」、と説明しましたが、ちょっと加筆する必要が出てきました。「量が多いからより黒い黒湯」とする、やや偏った解釈が出て来ていますので「必ずしもそうではない」と付け加えます。

フミン酸は水には溶けませんが、鹸化…つまりコロイド状になって水中に漂うものです。もし、地熱や圧力効果で更に分解されていった場合は、極性が極めて中性に近くなってしまっているので(なお、水分子は極性が偏っています)、余程の事情がなければ水には溶けず、油膜状になって水面を漂います。また多環芳香族化合物のため、独特の臭気を持つことも珍しくはありません。この場合は、石油に似た独特な香りになります。

しかし、深度がせいぜい100m〜400mの一般の「黒湯銭湯」の源泉の場合は、深成岩のように著しい地熱や圧力が加わっていることは考えにくいものです。但し、元の有機物の性質(この場合は、出発物質の植物…例えば干潟であれば葦(あし・よし)となり、浅い海であれば海苔やワカメなどの海水性の水草になります)が違えば、分子量が変わってしまい、一概に「黒湯の黒さでフミン酸の量が多いとする」と断じるのは時期尚早と判断されます。

何故なら、一般的にフミン酸の全体量次第では黒湯のくろさが増す傾向はありますが、フミン酸は単一の物質を示している訳ではないので、その分子量は様々です。例えば全体のフミン酸の量が多くても、その分子量が小さくなるにつれ遮光効果が薄くなるので、さほど色のくろさが無くてもフミン酸の量は多い例も存在します。またその逆に、非常に黒い場合でも、分子量が大きいフミン酸の割合が増えれば遮光率が高くなるので、仮にフミン酸の分子量が少なくても色はくろめになる傾向になります。

一部で、フミン酸の総重量がもっとも大きい浴場と紹介されて浴場で紹介されているサイトも存在しますが、そもそも分子量がまだらで大きな物質の場合は「総重量」ではなく「総モル量」で計算しないと、フミン酸が多いか少ないかの判断が出来ません

なお、フミン酸の量自体では「温泉法上の温泉」と認められません。この場合は東京の温泉の場合は「1リットル中にメタケイ酸が50mg以上融解している」検査結果がよく使われます。そもそも関東平野は比較的、メタケイ酸の混入量が大きくなる傾向があるので、メタケイ酸が豊富であると言う理由で「地下水→温泉法上の温泉」と言う例はよく見かけられます。

ただ、メタケイ酸の溶解量がほんの1〜3mg少なかったという理由で「温泉法上の温泉には該当しない」といった残念な結果になった浴場も存在します。一部サイトでは「温泉ではないけれど、体感的に温泉と同等、もしくはそれ以上」と言ったWebサイトの例が存在しますが、本人が感じただけだけで「温泉」の呼称は使えないでしょう。

ただ、その場合でもフミン酸に伴った黒湯であったならば、黒湯のメリットを十分に堪能出来ることは間違いありません。是非、温泉銭湯リストから「温泉銭湯ではないが(旧分類の鉱泉とは認められている場合を含む)それに準ずる浴場」を堪能してみて下さい。

 

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